フルーツポップスターズ 1話

フルーツポップスターズ

<ストーリー>
宇宙から地球へ隕石と一緒に落ちて来た宇宙生命体。
なんとビニールハウス内のフルーツと合体し手のひらサイズのフルーツちゃんたちが誕生!
青年ハルはその子達を発見する。

-出版情報-
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第1話 STARS

 光ひとつない、漆黒の宇宙。
 その闇の中で、星々は粉雪のように散り、ダイヤモンドダストのように瞬いていた。
 数えきれないほどのメテオロイドが、音もなく宇宙を横切っていく。毎日、およそ百トンもの隕石や塵が地球へと降り注ぐが、そのほとんどは大気で燃え尽きる。
 それでも、年間に数千から数万もの小さな隕石が、確かに地上に辿り着いているのだ。
 海や人の住まぬ土地に落ちることがほとんどだが――もしかしたら、思いがけないほど身近な場所に落ちているかもしれない。

 隕石は、遠い宇宙から来た未知の物質だ。
 その石のひと粒、くっついた微細な成分さえ、すべては地球の外からやってくる。
 もし、その表面に――宇宙生命体が付着していたら?
 そんな想像を、夜空を見上げるたびにしてしまう。

 * * *

 いつもの朝。
 僕は都心の大学に通っているが、今は夏休みで地元の島に帰ってきている。
 この島の朝は、潮の香りと風の音が混ざった、澄みきった空気に満ちている。
 実家の農園を手伝い、幼なじみとくだらない話をし、庭先で猫を撫でる――そんな穏やかな時間が、この島の日常だ。

 実家は代々農業を営んでいる。
 この島は特別な気候と土壌に恵まれ、驚くほど多様な作物が育つ。不思議なくらい何でも成る島で、世界でも珍しいと評判だ。
 島自体は小さく、住人は皆が顔見知り。お互いに助け合い、まるで大きな家族のように暮らしている。

 都会から戻ると、あらためてこの田舎の良さを思い知る――が、両親は必ずと言っていいほど「農園を継げ」と迫ってくる。
 けれど僕は、農業を生涯の仕事にしたいわけじゃない。じゃあ何をやりたいのかと聞かれれば、答えはまだ出せない。
 そのことを知っているから、両親はますます「継げ」という圧を強めてくる。

 だから僕は考えた。
 ――世界にない新しいフルーツを作ればいい。
 それが実家の農園に大きく貢献すれば、両親も口出しできないはずだ。

 大学に入って以来、帰省するたびに僕は品種改良の実験を続けてきた。もう三年近くになる。
 そうして自分の未来をぼんやり考えながら、平凡な日々を繰り返していた。

 ――あの子たちに出会うまでは。

 「なんじゃこりゃーーー!!!」

 ビニールハウスの入口で、ハルの絶叫が響き渡った。
 夏の朝の静けさを破ったその声が、この島の平凡を終わらせた。あのビニールハウスでの出会いが、すべての始まりだった。

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